國井誠海(くにい せいかい、1917年〈大正6年〉 - 2009年〈平成21年〉12月27日)は日本の書家。現代書を開拓した巨匠で、産経国際書展を設立し、産経国際書会の副理事長や最高顧問など歴任した。作品は米国ニューヨーク近代美術館(MOMA)や文部省、伊勢神宮などにも収められている。

略歴・人物

山形県生まれ、1935年(昭和10年)山形市立山形商業学校(現・山形市立商業高等学校)卒業、地域電力会社(現・東北電力)に勤務。1940年文部省師範学校中学校高等女学校教員検定試験(文検)に合格。鈴木翠軒に師事した。

太平洋戦争後に生まれた「現代書」の開拓者で、1970年代からフランスパリ、アメリカニューヨークやロサンゼルスなど海外でも個展を開くなど、国内外で書をアートとして広める活躍で、「現代書のパイオニア」と称された。総合書道展、毎日書道展、読売書法展、産経国際書展の審査員を計46回歴任。また、1998年(平成10年)に文化庁所管公益基金「誠海賞」を設立、後進となる現代書の若手作家を育成した。

なお、現代書研究所で書道教室の「誠心社」の代表は、2008年より長女の渡邉麗(現代書家、産経国際書会理事長代行。第36回産経国際書展高円宮賞受賞者)が務めている。

年譜

  • 1954年(昭和29年) - 第6回毎日書道展第4部(近代詩文)設立に、審査員として参加
  • 1960年 - 東京個展「銀座画廊」
  • 1963年 - 東京個展「新宿伊勢丹美術ギャラリー」
  • 1970年 - ニューヨーク近代美術館(MOMA)、ロサンゼルス日米文化会館 作品収蔵、ニューヨーク個展(リゴア ダンカンギャラリー)、フィラデルフィア個展(アートアライアンス)、サンフランシスコ個展(カブトヤギャラリー)
  • 1972年 - ロサンゼルス個展(キトニックギャラリー)、サンフランシスコ個展(カブトヤギャラリー)
  • 1973年 - ロサンゼルス個展(セリザワギャラリー)
  • 1974年 - ニューヨーク個展(アズマギャラリー)
  • 1975年 - ロサンゼルス個展 パサデナ(アジア美術館)
  • 1977年 - 東京個展「国井誠海書作展」(銀座ミキモトホール)、ロサンゼルス個展(シンノウギャラリー)
  • 1978年 - カリフォルニア州立大学ロングビーチ校に10年間出講
  • 1980年 - 東京個展「現代書のパイオニア国井誠海書展」(銀座ミキモトホール)
  • 1981年 - 東洋書人連合結成に加わる
  • 1982年 - 東京個展「国井誠海書展」(銀座ミキモトホール)
  • 1983年 - 毎日書道展を脱退。第1回「読売日本書法展」(現・読売書法展)に参加
  • 1984年 - 「サンケイ国際書展」「サンケイ国際書会」設立に参画(以後 副理事長から最高顧問まで歴任)
  • 1987年 - 山形市に「國井誠海記念館」設立
  • 1990年(平成2年) - 東京個展(新宿伊勢丹美術ギャラリー)
  • 1996年 - 個展 書業六十年記念展「新宿伊勢丹美術館 主催:産経新聞社」、文部省作品収蔵、現代書普及振興の実績により文化庁長官表彰
  • 1998年 - 現代書の若手作家育成のため文化庁管轄公益信託「國井誠海書奨励基金」設立
  • 2001年 - 第18回産経国際書展 内閣総理大臣賞 受賞
  • 2004年 - 山形市長賞・山形県知事賞 受賞
  • 2006年 - 旭日小綬章受章
  • 2009年 - 12月27日、急性肺炎のため死去
  • 2010年 - 「國井誠海先生を偲ぶ会」(上野精養軒)
  • 2012年 - 「國井誠海書奨励基金15周年記念書展」(上野の森美術館ギャラリー)

著書

  • 『国井誠海書作集1巻2巻』
  • 『現代書の理念』(東京美術、1979年)
  • 『現代書の視点』(東京美術、1985年)
  • 『書人誠海』(誠心社、1994年)
  • 『国井誠海の現代書講座』
  • 『現代書の視座』
  • 『現代書【道】の夜明け』(求龍堂、2005年)
  • 『墨彩七十年』

脚注

外部リンク

  • 誠心社 |  現代書研究の誠心社 - 創立70年以上、伝統ある書道教室です
    • 國井誠海 - 誠心社の國井誠海プロフィールページ

関連項目

  • 山形市立商業高等学校
  • 産経国際書会
  • 産経国際書展
  • 佐野丹丘
  • 産経新聞社

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